舞台美術

  • メゾンの歴史と創造にかける情熱の一面を際立たせるように選ばれたショーの開催地。1947年、ニュールックの大成功の直後、クリスチャン・ディオールは大西洋を横断し、米国を駆け巡ります。アメリカでの冒険の旅は、クチュリエが芸術にそそいだ愛とともにインスピレーションの一部となって、キム・ジョーンズをマイアミへと導き、フォール 2020 ショーが発表されました。そして、その翌日には「アート・バーゼル マイアミビーチ」*が開幕。ショーの壮大な舞台を迎えた5000平方メートルの建物の所有者は、コンテンポラリーアートの有名コレクターである、メラとドン ルベル夫妻。ルベル ミュージアムの正面に位置するこの場所でコレクションが讃えるのは、創設者のクチュリエとキム・ジョーンズをともに魅了した、アメリカン カルチャー、そしてあらゆる形式の芸術。 

サンイエローに輝くファサードと響き合うキャットウォークを包み込む巨大な波。全体を覆いつくす多数の「Dior」ロゴは、サイケデリックなグラフィティに解釈された、アーティスト・デザイナーのショーン・ステューシーの作品です。多彩な面を見せる個性豊かな芸術家の飽くなき・類なきクリエイティビティが融合させる、カウンターカルチャーとサーフィンの世界。誰もが認める1980年代の重要人物**とのコラボレーションを果たしたキム・ジョーンズのコレクション。ショーン・ステューシーのデッサンのひとつから生まれた壮大なビッグウェーブは、ステージの上に広がるように設計されました***。

波の姿になった大海のカラーが彷彿とさせるのは、幻想的なサンセットとマイアミビーチのアールデコ建築の色彩。イエローからグリーンへ、ラグーンブルーへと変化します。自由を讃える舞台装置の動き、思考、エスプリを体現するのは、サーフィン、スケート、ストリートアート。豊かなセンスが詰まった想像の世界からインスピレーションを得るキム・ジョーンズは、当時、フィフティーズに創作意欲を刺激されたムッシュ ディオールに重なります。時代を越えた美の旅へのオマージュとして登場した、燦然と輝く7台のアメリカン ビンテージカーは、モデルたちが纏ったデニムのカラー(繊細に刺繍されたホワイトの「Dior 1947」シグネチャー入り)とコントラストを演出しながら、ゲストたちを迎えていました。文化、国、時代が交わす自由な対話に加わる愉悦への誘い。 

*世界で注目を集めるアートイベントは12月4日から8日まで開催。
**サーフボードシェイパーとしてカリフォルニア、ハワイ、日本で活躍。
***クチュールのサヴォワールフェールを駆使し、1枚1枚手作業でセットしたペーパーリーフに覆われています。 

フォトクレジット - クリス タンブレロ